2021年度 卒園生の皆さんへ

おしらせ/幼稚園の生活

2022年3月18日。朝からしとしと冷たい雨が降る中、2021年度の卒園式がありました。先生や保護者にあたたかく見守られながら、卒園生は終始晴れやかな表情で式に参加していました。格式ばった式ではなく、実に美登里幼稚園らしいアットホームで心温まる素敵な卒園式でした。式の中で、退職する関本園長が卒園生に向けてお話してくださったメッセージ全文を掲載いたします。

卒園生の皆さんへ

秋に植えたチューリップの芽が土から顔を出しています。小鳥たちはさえずり、桜の花のつぼみも膨らみ始めました。
神さまは春の準備をしてくれています。春はもうすぐそこまで来ています。
今日は同仁美登里幼稚園の卒園式です。みどり組の皆さんは今日幼稚園を卒園いたします。
卒園生の皆さんご卒業おめでとうございます。
もも組・き組・みどり組の春・夏・秋・冬を過ごした3年間の生活の中では、いろいろなことを思い、心を動かしました。庭の高い欅や桐の木の下で思い切り遊ぶ時も、イエスさまの優しいまなざしを感じながらお部屋で静かに礼拝を守る時も、先生から、たくさん絵本を読んでもらう時もありました。時々お部屋を覗きに行くと、絵本を読んでくれる先生の声をよく聞きながら、じっと絵本を見ているみなさんの姿を見ることができました。どんな時にもお友だちと一緒でしたね。
先生も絵本が大好きです。数ある絵本の中でも「しんせつなともだち」という絵本が好きです。皆さんもよく知っていますね。「雪がたくさん降っている日、こうさぎは2個のかぶを見つけます。1つは自分で食べ、もう1つは雪がこんなにふっていて、ロバさんはきっと食べ物がないでしょう。とかぶをロバの家においていきます。ロバは部屋でかぶを見つけ、今度は子ヤギの部屋におきます。子ヤギはこじかの家にそっと置いていきます。こじかは部屋でかぶを見つけ、雪がこんなに降っていてとても寒い。うさぎさんはきっとなんにも食べ物がないでしょう。このかぶを持って行ってあげましょう。こじかがうさぎの家にきてみるとうさぎは眠っていました。おこさないようにこじかはかぶをそっと置いて帰りました。やがてうさぎはめをさまし、やあ、かぶが戻ってきた。子うさぎは考えましたが、すぐわかりました。

友だちがわざわざ持って来てくれたんだな。って。
寒い雪の日ですから、食べ物がないだろうとお友だちのことを思いやる、優しい気持ちがあふれ出る物語です。この絵本を読むと心がポッとあたたかくなります。

さて、今、皆さんも知っているかもしれませんが、ロシアとウクライナという国が戦争をしています。小さな赤ちゃんや子どもも殺されています。家も道路も壊され、違う国へ逃げたり、お父さんやお兄さんが兵士として戦っているのです。その光景を見ると心が痛みます。
平和の中にいる私たちは本当に幸せです。

さて、好きな絵本の一つに「てぶくろ」があります。これはウクライナの古くから伝わる民話です。
もう一つは「おおきなかぶ」です。これはロシアの民話です。

「てぶくろ」も小さな手袋の中に大きな動物、クマヤオオカミやら、小さな動物、かえるやら、いろいろな動物が、それぞれ認め合いながら、ぎゅうぎゅうに入り、暮らし始めます。
「おおきなかぶ」もかぶを抜くためおじいさんから子どもからネズミまでみんなで力を合わせてうんとこしょどっこいしょと力を合わせて抜くのです。どちらも素敵な絵本です。
「しんせつなともだち」も中国のお話です。どこの国でも人間は本当はやさしい気持ちを持っているはずです。人を思いやる優しさを持っているはずです。

皆さんはお友だちや先生と過ごす中で、それぞれを認め合いながら、一番大切な優しい心が育ってきました。いろいろなところでその優しさを見せてくれました。
聖書の中で、「平和をつくりだす人は幸いである」とイエスさまが言ってます。優しさはその平和をつくりだす大きな力です。優しさはどんなものより、どんなことよりも強いものです。小学校に行っても、友だちを励ます優しい言葉をかけられる人になってほしいと思います。優しさを皆に伝えられる人になってほしいと思います。そして、平和をつくりだす一人ひとりになってほしいと思います。

かならず世界中の国々が、優しさを取り戻し、戦争がよくないことを知って、ウクライナとロシアの戦争が早く終わりますように、安らかな日々が戻りますようにとみんなで祈り合いましょう。

2021年3月18日 関本泰子