6月に入ってすぐ、夕涼み会の準備が始まりました。最初に、「みんなが年中組のときに、夕方に来てお買い物したの覚えてる?」と聞くとほとんどの子が覚えていて「宝石を貰った!」「アイスのうちわを作った!」と教えてくれました。「今度はみんながお店屋さんをするよ」と伝えるとやったー!と大盛り上がりでした。 おかし・ジュースやさん、うちわやさん、てづくりひんやさん、ゲームコーナーの4つの中から子どもたちが自分でやりたいお店を選んで決めました。

全員がやりたい係になれたらいいな、という思いもありますが、お店の人数が決まっているので、なりたい係になれないこともあります。やりたい係になれてやったー!と喜びながらもなれなかった友だちの姿を気にしている子、なりたい係になったけれど、なれなかった子の姿を見て「他の係もやってみたい」と自分からお店を変えた子、一度はなりたい係になれず泣き叫んだけれど、2度目の話し合いで係になることができた子、やりたい係になれず涙しながらも決まった係をがんばる、と言う子、色々な思いがありました。けれど、神様がきっと1人ひとりを導いてくださる、と信じて見守り、必要なときに支えてきました。

うちわやさん。
うちわを作ってくれる年中組に「うちわ一緒に作ってくれませんか?」とお願いに行きました。年中組の前に立ってお願いするのはとてもどきどきしていて、1回目は小さな声になったけれど、もう一度勇気を出して大きな声で伝えてみると「いいよ!」「ハートのかわいいの作る!」「俺は簡単に作れるから」などと言ってくれた年中組の子を見て安心した様子でした。何日かして「うちわが出来上がりました」と年中組の子が持ってきてくれたときも、お願いしたうちわができたことを喜んでいました。また、うちわやさんは、てづくりひんやさんと一緒に手作り品を何にするかを話し合ったり当日のアナウンスの練習をしたりして準備しました。お店屋さんを一緒にする友だちと読む部分を一緒に決めて、何度も自分のところを練習していました。当日も自分のところのアナウンスを読み、拍手をもらって嬉しそうな顔が見られました。

てづくりひんやさん
てづくりひんやさんは、うちわやさんと一緒におもちゃとアクセサリーを1つずつ何にするか話し合って決めました。色々な意見が出て、その中でどのおもちゃ、アクセサリーにするかがなかなか決まりませんでした。すぐに1つに決まらないのは、1人ひとりにこれにしたい、という思いが強く、誰か一人でも反対の意見だったらどんなに多くの人数が賛成であってもその意見には決められないと頭を悩ませていたからです。連日の話し合いで、誰かが譲らないと決まらない、ということを感じ始めたMさん。自分が一番いいと思っているおもちゃの他にこれでもいい、という意見を出し始めました。そうすると他の係の子もじゃあこれなら私もいいよ、と話し合いが進み始めました。全員が納得する意見にするためには、話し合いをする中で少しずつお互いに譲ったり歩み寄ったりすることも一つのやり方であると気付いたようです。そうして作るものが決まり、決まったおもちゃ、アクセサリーをクラス全員で力を合わせて作ることが出来ました。

おかし・ジュースやさん
おかし・ジュースやさんの話し合いは、他の係の準備が始まってから少し経ってからだったので、「まだおかし・ジュース屋さんやらないの?」とはやく準備をしたい様子で、話し合いをとても楽しみにしていました。20種類のお菓子の中から何にするかを話し合い、5種類のお菓子に決まり、決まったお菓子を袋に入れてラッピングをしました。おかしやさん8人で、150人分のお菓子をラッピングするのは大変でしたが、1つ1つ丁寧に袋に入れていました。また、おかし・ジュースやさんは、ジュースを買いに生協まで行くお仕事も行いました。行きはルンルンだった子どもたちでしたが、1人で18人分のジュースを持ってみると、あまりの重さにびっくり。最初は「持てない」「重すぎるよ」と言っていましたが、肩から掛けたり両手で鞄を抱えたりして、暑い中汗だくだくになりながらも頑張って運びました。生協からの帰り道で3回休憩し、体操をしたりお茶を飲んだりしていると、幼稚園が見えてきて元気を取り戻し、最後の角を曲がると「かるい!かるい!」と言いながら自分たちで鼓舞している姿もあり、子どもたちだけで幼稚園に運びました。時間にすると1時間くらいの準備でしたが、重くて大変だったからこそ心に残った時間だったのではないかと思います。


ゲームコーナー
ゲームコーナーは、何のゲームにするかの相談からはじまり、ルールやお約束、景品なども全部子どもたちだけで話し合って決めました。ゲームコーナー係の子たちは人数が多かったのですが、話し合いだよと伝えると遊びの途中でもすぐに集まり準備を進めていきました。色々な意見をもっている子が多く、何のゲームにするかの話し合いでは、魚釣り、ホラーゲーム、水鉄砲、射的、的当て、ボーリングなど様々な意見が出ました。決める方法をどうするかの話し合いではじゃんけん、多いもの勝ち、かけっこ、にらめっこ、くじ、あみだくじ、など様々な意見の中で、かけっこで決めることになり、全員で走って一番早かったAさんが射的にすることを決めました。どんな射的にするかも話し合い、積み木を一番t角積み上げた人が決める、という方法で、段ボールの的をロケットランチャーで撃つことになりました。

どんなゲームか決まると早速ロケットランチャーと的をそれぞれ作り始めました。やってみるとすぐに上手くいき、作りながら何度も自分たちでもゲームを楽しんでいました。ルールと約束もみんなで話し合い、紙に一人ずつ書き、飛びやすいようにロケットランチャーの調整をしてゲームコーナーの準備を終えました。夕涼み会に向けての取り組みが始まって最初から最後までたくさんの話し合いと準備を進めてきたゲームコーナーの子どもたち。大変な準備だったからこそ、子どもたちだけで話し合えるようになっていき、準備が終わったことをとても喜び、夕涼み会当日を楽しみにしていました。

6月いっぱい準備してきた夕涼み会、当日はちょうどいいお天気で、お店屋さんを頑張ったりお買い物をしたりして楽しんでいました。準備中も話し合いの中で、自分の意見を言葉で伝えること、相手の意見を聞くこと、いろんな意見の中から一つに決めることなど、様々な経験が重ねられ、1人ひとりが大きく成長した夕涼み会でした。
年長組担任