それぞれのページェント 2024

おしらせ/幼稚園の生活

「天使」を演じたSちゃんの場合

役決めにまつわる子供たちの人間ドラマについて先生からお話を聞いたとき、自分の幼稚園の発表会の記憶が走馬灯のようによみがえった。昭和の時代、やりたい役を演じられるのは「ハイ」と大きな声で手を挙げることができる猛者のみ。そして無慈悲にも、早いもの勝ちだった。真っ白な衣装の可愛らしい妖精をやりたくてたまらなかった私は、妖精役に押し寄せる女の子たちの勢いに混じる勇気はなく、残っていた真っ黒なフクロウの役に手を挙げた。VHSビデオで映像を見返すと、フクロウの帽子が自分だけずれていて、黄色のくちばしが横を向いているのがなんとも嫌だった。

だから、どの役も劇には必要不可欠なこと、どの役も同じように大切であることをしっかり子供達に伝えた上で、数日かけてやりたい役に自分の名前を貼り、締め切りまでだったら何度でも変えてよいという美登里幼稚園のシステムは、よく考えられているなと思う。とても美登里らしい、すばらしいシステムだ。

娘に「やりたい役はあるの?」と聞くと、「マリア様!」と答えた。おや、と意外に思って、「去年は天使役がやりたいって言ってたけど、変わったんだね」となにげなくコメントした。その後特に話題にあがることがないまま、「天使役に名前を貼った」と報告があった。「少し誘導めいた発言をしてしまっただろうか…」と、親としてはちくりとした思いが残った。毎年いちばん人気のマリア様役と、今年は定員にすこし余裕があったらしい天使役。もともと、誰かと取り合いになりそうな気配を察知すると一歩引いてしまうような面はあった。けれどそれはそれとしてすっかり忘れてしまい、いつも行事には一生懸命に取り組む。ページェントも、ただ純粋に天使を演じることを喜び、「Aちゃん(マリア様役)とっても上手だったよ!」と目を輝かせ、本番を楽しみに、真剣に練習に取り組んでいた。

 今日、娘に「なんでマリア様から天使に変えたの?」と聞いてみた。「私の心の中には天使がいるから。だから、私にぴったりかなと思った」という答えだった。

「あなたの心の中にはきっと天使がいるんだね」と言うのは、幼稚園に通うようになってからの、夫の常套句だった。娘が家族を元気づけたとき、兄を助けたとき。大好物を分け与えたとき。誉め言葉の代わりのようなものだったと思う。天使さんがお留守になってしまうことも多々あった。折に触れ「天使さんは元気にしてる?」「いま、心が真っ黒になっていない?」「自分の中の天使さんに聞いてごらん」と問いかけてきた。

娘の中の天使。そうか。

本番ももちろん大事だけれど、本番に至るまでの過程をどう歩むかということこそが、いちばんの宝になるのだと思う。すばらしい過程を見せてくださった先生方と子供たち、そして神様に、心からの感謝を捧げます。

(Sちゃんのお母様)

「博士」を演じたHくんの場合

運動会や芋掘り遠足が終わり、いよいよページェントの季節に。
みんなの前で手を挙げることも話すことも苦手だった息子。
それどころか水筒の中身が空っぽなことも言えず「お母さん!水筒の中身がないからお茶くださいと言えました!」とみどり組2学期の面談で担任の先生が喜んで伝えてくれるような息子だったので、ページェントは無事にできるのだろうかという大きな心配がありました。

役決めをする前にお試しで色々な役をする機会があり、色々考えたようである日「お母さん!僕は博士がやりたいんだ!」と教えてくれました。
博士役は3人ですが、希望者は5人。
与えられた役が息子にとって素敵な役になりますようにと願い、いよいよ決定の日。
皆で話し合い、かけっこで決めることになりました。息子は希望していた博士になることができました。
他の博士役の子たちと「なれなかったお友だちの分も頑張ろうね」と話し、1ヶ月ほどの練習を重ねていきました。

そして、いよいよページェント当日。
羊の可愛い帽子を被ったもも組さんを見た瞬間、息子がもも組さんだったときの姿を重ねてしまい息子が入場する前に涙がぽろぽろ。

大勢の人たちを前に1人で歌い、セリフを言う息子の姿を見てここまで成長させてくれた先生方、お友だち、そしてそんな息子を温かく見守ってくれた保護者の皆様に感謝の気持ちでいっぱいになりました。
2学期の保護者会で園長先生が「ページェントは日々の積み重ね、クラスのみんなとの呼吸を合わせて作り上げるものです」とおっしゃっていた意味が終わった今、より心にしっくりときました。
このような経験を大切にこれからも様々なことに楽しんでチャレンジしていってもらえたらなと思います。

(Hくんのお母様)

「導きの星」を演じたKくんの場合

常にマイペースなうちの仲良し兄弟。
違うのは緊張具合。どこでもあまり緊張しない兄と、緊張しやすい弟Kくん。
兄は、2年前のページェントで、あみだくじの結果、導きの星役となりました。

当時の私は、ページェントの意味も役決めの意味もよく分かっておらず、「ラッキーマンだったね!」と、やはりよく分からないコメントを残した覚えがあります。

対して弟の年には、なりたかった役になれなくて長い期間落ち込んでいたお子さんや、歴代に起こった役決めの話、この話し合いの経験が子供に多大な成長をもたらす事など、ページェントは当日だけではなく、美登里幼稚園の真髄とも言える自由教育のど真ん中に位置付けられている事を知っていました。

ページェントごっこが始まる頃、Kくんは、セリフの少ない宿屋かな〜、天使もいっぱい居るからいいな〜と、目立たない、話し合いにならない事を第一に役を考えていました。
本人らしい考えだな、と「どの役も本当素敵だよね。」と伝えていました。

それが急に、「ねー、導きの星だと思い出に残ると思うんだけど、お母さんは宿屋と導きの星どっちが嬉しい?」と聞いてくるように。
えっ?お母さんに喜んで欲しいなんて思ってくれているだけで、その成長に涙しそうになりました。
役決めの日には導きの星を選んだこと、多数の希望者がいて話し合いとなった事を知りました。
最終的に大声大会で多数の票をいただき、導きの星となりました。(赤ちゃんの頃から頭痛の種だった大声が、ここで活かされるとは…。笑)

本人は役になれた事よりも、他のクラスの子に、「さっきの大声良かったよ。」と言われた事を喜んでいました。
でも、多数の希望者がいた導きの星。
きっとページェント当日を迎えるまでも、お友達同士での話もあったことでしょう。

本番数日前からは、自分じゃない方が良かったんじゃないか?と緊張も混じって、何度も戸惑いを伝えるKくん。
お歌は得意でないし、緊張もするでしょう。でも、本人があの逃げたくなる場所に、しっかりと立つ事が大切。声が出なくてもいい、乗り越えられる、頑張れ!と、母の方が緊張に飲み込まれそうになりながら、心の中で唱え続けていました。

当日、私は祈る気持ちで用意した、3つの星が並ぶブローチを手に握りしめて幼稚園へと向かいました。
一方、履き慣れたのが良い、と頑なに夏用のテロテロのズボンを譲らないKくん。
言ったら聞かないことを知っているので、暖房があるなら大丈夫かな、と送りだしました。
出番になって歩いてくるKくん。もう緊張なのか寒さなのか分からない程に足が震えています。

いつもよりは声も小さ目だったけど、整列して帰る時に、母を見つけた安堵の笑顔は一生忘れません。
神様へ捧げるページェント。
登園したみんなで、病気でお休みしたクラスメートのために祈りを捧げ、その後本番を迎える事ができた事に感謝します。「うちには2人の星がいるね。」と、家族みんなで献金瓶に入った星のブローチを覗いています。

(Kくんのお母様)

「羊飼い」を演じたSくんの場合

ページェントにドキドキしながらも楽しみにする子がいて、一方で、人前に立つことに強い不安を抱く子がいるとしたら、Sはまさに後者でした。

ページェントの練習が始まったと聞いて、「練習はどう?」と聞いても答えない(基本、言いたくないことはスルーする)。鬼の体力を誇り、毎日家まで走るSが「疲れた」と言って、連日、自転車に乗ることからも、練習を負担に感じている様子が伺えました。先生からは、羊飼いを選んだらしいと聞いたものの、セリフを言わず、Sのセリフの前でいつも練習を止めているという話が聞こえてきました。

「家で練習してみる?」と声をかけては「やだ、やらない」とハッキリと断られ、さらには「もうページェントの話はしないで」とSに手で口をふさがれては、打つ手なし…

普段、自分の気持ちを伝えることが苦手で、おともだちに嫌なことをされても嫌といえず、先だっての運動会でも一人で走るのは恥ずかしいと言っておともだちと一緒に走ったSにとって、人前でセリフを言うことは相当高いハードルであることは想像に難くありません。

ある日、パパが園長先生から、「Sくん、セリフ言ってますよ!感動しました!」と声を掛けられました。Sは、担任の先生に声をかけて貰い、ひとりでセリフを言うのは難しいと伝えたようで、他の羊飼いのおともだちが手をつないでくれたり、セリフのタイミングを指でつんつんして教えてくれることになり、そうこうしているうちに、おともだちに教えて貰わなくても言えるようになったとのことでした。

前日、「明日は幼稚園行かない」と宣言していたSでしたが、本番当日は、緊張で強張った顔ながら、「見に来ても良いけど、Sのことはみないで」と言い置いて、登園しました。
迎えた本番、天使や宿屋など、もも組から見知ったこどもたちが緊張しながらも、自分の役割を果たして達成感に輝く表情を見ながら、Sの出番を待ちます。そして、羊飼いのシーンが始まりました。
が、Sはセリフを言いません。
持っていた杖で顔を隠そうとし、しきりに顔を手でこすっています。周りのおともだちが、身を乗り出すようにしてセリフをささやいてくれたり、肩を叩いてくれますが、

言いません、—————————・・・・・。

 先生もSのもとに来て、何事か話しかけています。待っているき組やもも組のこどもたちからも「まだー?」「どうしたのー?」という声が漏れ聞こえ、場がざわざわします。

とうとう、Sはセリフを言わないままにページェントが再開し、フィナーレには、園児全員が晴れやかな表情で「そらにひびくかねが」を歌っていました。
その礼拝堂に響く明るい歌声を聞きながら、Sになんて声かけよう…、ひとまず、最後まで逃げなかったな、あんなに注目されてすごく逃げたかっただろうに最後まで自分の足で立って帰ったな、そこは頑張ったと伝えよう…と思いまながら、ページェントが終了しました。

最後に、園長先生がお話され、何と、Sは小さな声でセリフを言っており、その声は、他のみんなが支えようという気持ちや声もあって、保護者席まで届かなかったけれど、確かに言っていたとおっしゃいました。
半信半疑で、迎えに行くと、Sは疲れた顔で「小さい声でセリフ言ったよ」と。

後日、担任の先生から、練習でSがセリフを言えない時、おともだちが快く助けてくれたこと、そうして支え合いながら、Sも少しずつ自信をもってセリフを言えるようになり、けやきグループのページェントを作られたというお話をお聞きました。

改めて、Sに「ページェント、ちょっとは良かった?」と聞いたところ、「ページェント、きらい、二度とやりたくない」とSらしくブレずに答えました。

しかし、できないことがあっても、おともだちや先生が支えてくれたこと、その温かい雰囲気の中で過ごしたこと、最後まで逃げずにやり切ったことは、Sの心の底にこれからも温かい記憶として残ることと思います。

(Sくんのお母様)

「天使」を演じたKちゃんの場合

 もも組の頃から、行事の少し前になると「行きたくない、、」と必ず言い、行事には常に緊張や不安を抱えるKが、みどり組のページェントをどう過ごすのだろうかと、心配半分楽しみ半分で我が家のアドヴェントは始まりました。 

 ページェントごっこがあった日のこと、「ガブリエルやってきた!」と。わたしは思わず、「えっ!?ガブリエルって1人でお話しすることが多いよね?」と驚いて聞くと、「1人で言わないよ。みんなで言うんだよ!」と。姉の時にページェントを見ている私としては、そんなはずはない!?と思いながらも、その時は「ふーん。」と返しました。しばらくして役決めがあり、Kは人数に余裕のある天使の役に希望通り決まりました。
 役決めから数日後のこと、夕食時にKが「ねぇ、天使って1人で話す?」姉は「天使だけじゃないよ。どの役もほとんどみんな1人でセリフを言うよね。」と。それを聞いたKは黙ってしまいました。やはりちょっと勘違いしていたのか、、と私はやや不安になりました。

 練習が始まり、普段から園の様子をほとんど話さないKがぽつぽつと練習の時のことを話してくれました。
「言うのわからなくなって言えないんだよ。ドキドキするし。でもね、シーンてなると、先生が言ってくれるから大丈夫なの。」と明るく言う姿に私の不安は少し増し、「今日は◯◯ちゃんが、コショコショ話で言うこと教えてくれたからできた。」と楽しそうな姿に安心し、色々と突っ込みたい気持ちを我慢していたある日のこと、「今日は、誰にもお手伝いしてもらわないで言えたよ!」と。練習を重ねていくうちに、少しずつ自信がついていった様子や、信頼できる仲間達や先生がいる安心感などを本人から感じる日々でした。 

 そしてページェントの朝、初めて「行きたくない」と言わず、明るい表情で登園した姿に、驚きと共に先生や友達と積み重ねてきた時を感じました。
 美登里幼稚園の大切にしているたくさんのことがページェントに詰まっているのだろうと我が子から、保護者会で聞いた子ども達の様子から、実感しました。『上手にやる』ことが目標なのではなく、本番に至るまでの日々で一人一人の子ども達がたくさん心を動かして、当日は、その時の気持ちを精一杯に表すページェントだから、見ている側はこんなにも胸が一杯になるんだなぁと思います。この先の自分の力になるものを種蒔いてくださった幼稚園、神様に感謝致します。
 みどり組さん(もも組、き組さんも)、素敵なページェントをありがとう!

(Kちゃんのお母様)

「語り手」を演じたKくんの場合

いきなりですが、Kの場合、何か特別ドラマチックなことがあったわけではありません。でも、わが子のこととなると、書き始めたらすごーーく長くなってしまいました…。はじめにお詫びしておきます。(笑)

きぐみのときから導きの星になりたいと話していたK。理由をきくと、「みんなの願いを叶えたいから」とのこと。それをきいて、なんて素敵な子なんだろうと心のなかでは親ばか炸裂。そんなわが子の願いこそ叶えてあげられたらとは思いつつも、どの役になるかが大事なわけではないページェント。しかも、早い段階で、導きの星になりたい子は何人かいるらしいという話も聞こえてきて、どうなることか(親がどきどきしてもしかたないけれどやっぱり)どきどきしながら、あっという間にみどりぐみの冬を迎えました。

ページェントごっこで、まずはやはり導きの星を経験したK。2回目で宿屋を経験したKは、宿屋も気に入ったようで、どちらにしようかなと少し悩み始めました。
「宿屋は今希望すればなれそうだな。でも導きの星はなりたい子がやっぱりたくさんいるから話し合い。話し合いするのはなぁ…。」
そんな様子を見て、なるほど周りをよく見て考えているのだなと感心しつつも、話し合いを避けるために、ずっとなりたかった導きの星に挑戦しないで後悔しないだろうかと心配になりました。できるだけ誘導するようなことはしたくありませんでしたが、以下のようにだけ伝えました。
「Kが決めたこと、Kがなった役を全力で応援するよ。どの役も大切だもんね。楽しみにしているよ。ただ、後悔はしないようにしてほしいな。」

なりたい役の希望を出す締切の前日、Kは「導きの星にしたよ。」と教えてくれました。なれるかどうかはさておき、Kが挑戦しようと決めたこと自体に意義を感じました。
さて、いざ役決めとなり、導きの星を希望した子は、なんと6人!何日も時間をかけて、いろいろな方法で話し合いが進められたようです。役を決めるための、ではなく、役を決める方法を決めるための、多数決、かけっこ、にらめっこが行われ…最終的にはみどりぐみ全員の前で大きな声を出せた人に決めることとなり、残念ながらKは導きの星には選ばれませんでした。

それが決まった日のお迎えのとき、
「語り手にするよ。」
Kの第一声がそれでした。本人も予想していたとおり、第二希望の宿屋も定員になってしまったため、第三希望だった語り手を次は目指すということなのです。導きの星になれなかったことについて、泣いたり悔しがったり、気持ちをしばらく引きずるのではないかとも思っていましたが、Kの気持ちがもう先を向いていたことに驚きました。また、おかしな表現ですが、もっとちゃんと悔しさや悲しさを噛みしめなくて大丈夫なのだろうかとも思いました。もちろん、親が見ていない幼稚園での時間にどんな思いを巡らせていたかはわかりませんし、悔しさを紛らわすための発言だったのかもしれませんが、何とも不思議で親の方が少しもやもやしてしまいました。

語り手にすると宣言したKでしたが、ここですぐに決まったわけではなく、第一希望がかなわなかった子たちがみんな語り手を希望したため、またまた話し合いとなりました。Kは嫌がっていましたが、これまでにも、日々の遊びや夕涼み会や運動会などでさまざまな話し合いを重ねてきたからこそ、その必要性や大切さを理解していて、投げ出すことなく最後まで向き合えたのだと思います。いつも見守ってくださる先生方には、本当に頭が上がりません。

そしていよいよ全員の役が決まるという日。お迎えに行くと、ほっとした表情のK。
「語り手に決まったよ!」
「よかったね!…語り手になれなかった子たちの分も、心をこめてできると良いね。」
と言うと、
「わかってるよ。」と即答。
どうやらこちらの後の一言は余計だったようで、きっと先生たちからのお話のなかでも、子どもたちのなかでも、そのようなことはもう何度も共有されていたのだと思います。そして、先の私のもやもやにも合点がいったのです。役の人数は決まっていて、なりたい役に全員がなれるわけではない。でも、どの役もなくてはならない大切な役。それがわかっているから、自分に与えられた役に素直に気持ちが向いたのだと思います。

語り手メンバーのなかでのせりふの順序が決まると、自分のせりふはあっという間に覚えていました。また、自分専用の衣装の小物などが決まると、とてもうれしそうにしていました。
ほかの友達のこともよく見ていて、
「あのセリフ、超いけてる」
「◯◯くんは表現がうまいんだよなぁ」
と、互いに認め合うことができる環境に恵まれて、本当にありがたいことだと感じました。

本番前日、
「あ〜〜ページェント楽しみだなぁ〜!早く明日にならないかなぁ〜!」
緊張という概念はどうやらまだないようで、ただひたすら心の底から楽しみにしている様子。きっと、大きくなったようでまだ小さい子どもたちにとって、自分に何か役割が与えられるということも、みんなでひとつのものをつくり上げるということも、大きな喜びなのだろうと感じます。

いよいよ当日の朝。いつも通りのKに対して、親は緊張やら期待やら、さらには「早く見たいけれど、始まれば終わってしまう」という寂しさにも駆られる始末。
そして遂に礼拝堂の席に着き、子どもたちの入場が始まると、予想外にも、ももぐみのかわいいひつじさんたちの登場で大号泣。こんなに小さくてかわいかったKが、もう最後のページェントを迎えて、立派に自分の役を全うしようとしている。
Kは、堂々と入場し、自分の出番では、家で練習していたように大きくはっきりとせりふを言うことができました。誇らしそうに晴れ晴れとした表情で退場していくまで、あっという間のできごとでした。

ページェントを終えてしばらくしてから、届いたDVDを家族で見ていたときのこと。Kは弟に導きの星の役をすすめており、導きの星への思い入れはやはりずっとあったのだなと気付かされました。でも、自分がなれなかったことを引きずっている様子はなく、たくましさのようなものを感じました。
「導きの星になれなかったのは残念だったな。だけどそのおかげで語り手ができたのはよかった。語り手もおすすめだよ!いや、全部おすすめ!」
と、とにかく前向きにすべてを捉えて、ページェントが大事な思い出になっていることにほっとしました。

振り返れば、それもこれも、子どもたちが納得して向き合えるよう先生方が導いてくださり、保護者もともに見守り、子どもたちが互いに力を合わせることができたおかげです。
わが家はKの下にきょうだいがいるので、来年度以降もまたクリスマスページェントが待っています。そのときにも、親はできるだけそっと見守り、子どもを信じて、その成長とお祝いのときを楽しみに待ちたいと思います。
神様、ありがとうございました。

…余談ですが、美登里幼稚園卒園生である私自身は、ページェントでどうやら博士を演じたらしいのです。しかし、なんと恥ずかしいことに、まったく覚えていません!ただひとつ言えることは、自分の役は忘れてしまっても、子どもの役は絶対に忘れません。(笑)それにこのページェントに至るまでのあらゆる幼稚園生活も、ページェントからつながる残りの幼稚園生活も、間もなく迎えるこれからの小学校生活も、どれも忘れたくありません。
どんどん大きくなっていってしまう背中を、これからも追いかけて、置いて行かれないようにそっと寄り添い、一緒に心を動かしていけたらと願う日々です。

(Kくんのお母様)