そのときを待つこと

おしらせ/幼稚園の生活

もも組(年少)の我が家の娘は、はじめて植えた自分の朝顔をとても大切にしていました。
毎日欠かさず水をあげ、じーっと見ては、
「つる伸びてきたかなー」とつぶやくも、なかなか大きくならない朝顔。
そしてその隣には兄が小学校から持ってきた、ベランダの竿にまで及ぶ、大層立派な朝顔が。
並ぶと同じ朝顔とは思えないほどで、少し寂しげな娘はだんだんと水を上げる頻度が減ってきてしまいました。

暑い夏が終わり、葉っぱも萎れてきて、結局一輪も咲かずに枯れてしまったなーと思っていた9月の最後の週末。
朝起きると枯れかけた葉っぱの先に、可愛らしいピンクの花が咲いていました。
娘は大喜びでスキップしながら久々の水やりをし、翌日にはもう一輪、またその翌日にはもう一輪と次々と花が咲いたのです。

大喜びの娘の横で、私は
あーこれは、美登里幼稚園の朝顔だなーと、
なんだかしっくりきてしまいました。

「その子その子にそれぞれ、その時がある、焦らずその子の時を待ちましょう」
以前先生との面談でいただいた言葉があります。
人を思いやるということは、すごくたくさんの経験を経てはじめてできることなのだと。
「自分がされたらどんな気持ちがする?」はまだ難しいんです、と。
まずは自分が痛かった、嫌だったという気持ちに気づくこと。
そして、日々の中で仲良しの友達ができて、その友達が泣いている、嫌がっている、そこではじめて悪いことをしてしまったと心が痛み、相手はどういう気持ちなんだろうと考えるようになると。

時間はかかるけど、こうして培った優しさは、実感を持って、子供の心の中にどっしりと残るものだなと強く思いました。

きぐみ(年中)の頃、毎日自分の知り得る悪態を並べ尽くして相手を罵っていた長男も、まだまだ怒ることはありますが、イヤイヤ期真っ盛りの弟の大暴れに巻き込まれても、〇〇が嫌だったんだね、気づかなくてごめんね
などと言うようになりました。
毎日どうしたらいいんだろうと悩んでいたあの頃の自分に、いつかこんな日が来るんだと伝えたい。

問題が起こる前に、その芽を摘むことの方がきっと安全かもしれない。
でも、実体験をもって、積み重ねてはじめて芽が出る心も沢山ある。

それをしっかりと安全に気をつけて、見守って下さる環境がこの園にはあって、
諦めずに辛抱強く、何度も何度も何度も支えてくれる先生がいる。

だから子供達はのびのびと思う存分言いたいことを言って、戦って、やりたいことができる。

きっとこの朝顔は、他の朝顔が枯れる頃も
強く咲き続けるに違いないと思います。

あまりにも咲くのが遅い朝顔に、
もう咲かないと家族中が諦めていたけれど
10月目前で花が開いたように、
「その時」は明日急にくるかもしれない。

ついつい今だけを見て、もう無理なのかなと途方に暮れてしまうけれど、
朝顔は諦めて、信じてやれなかったけど、
子供達のことは長い目で信じて見守っていきたいと思った秋の日でした。

年少保護者K