こどもたちのページェントへの向き合い方を保護者の目線で捉えたものです。

「ヨセフ」を演じたAちゃんの場合

母 「Aちゃん、ページェント何するの?」
A 「ヨセフさんだよ」
母 「・・・?  ヨセフって誰だっけ?」
娘とのこれまでのおしゃべりから、天使かな? みちびきの星かな?
と予想していた母の中にはない選択肢だったため、何をする役なのか、一瞬わからなくなった。
母 !!! マリヤさんの横にいる! え、めっちゃ重要な役じゃん!!とようやく気づく。
母 「意外だね! Aちゃん、なりたかったの?」
A 「うん、マリヤさんは赤ちゃん産まなきゃいけなくて痛そうだから」
母 「笑。そっか、確かに赤ちゃん産むのは痛いよね。笑」

予想外の役と志望動機を言う娘と、ピンぼけな返しをする母の会話から始まった、我が家のページェント。
真面目な性格の娘は、その日から、台本が擦り切れるほど大切に持ち歩き、
1冊まるごとセリフを覚えて、見事なヨセフさんを演じきった。

本番のあと、
「ほんとはね、ヨセフさんになりたい人あんまりいなかったから、Aちゃんがやろうって思った。」とポツリと一言。

Aちゃんらしい理由だなぁと、すーっと納得した。
日頃から、「今日、何食べたい?」「何して遊ぶ?」という母の質問に、
兄がしたいであろうことを想像しながら答える、
娘らしい動機だなぁと思った。

いつか、本当に譲れないようなやりたいことを見つけたときには、
それを貫ける人に育って欲しいけれど、
まわりを見ながら、自分のことを考えられる、
彼女のバランス感覚や優しさは、これからも大切にしてほしい、と思った。

母のイメージしていたページェントとは違ったけれど、
娘のかっこよくて、逞しくて、優しいヨセフ姿は、一生忘れないと思います。

(Aちゃんのお母様)

「羊飼い」を演じたMちゃんの場合

“ページェントは発表会やお遊戯会の類のものではありません”
“それぞれがどれも大切な役です”

現在小3の1番上の息子が入園したときから毎年先生がおっしゃっているので、もちろん理解していた。息子は『博士』の役がやりたいと立候補し、話し合いの末のじゃんけんで勝ち、博士の役を演じた。保護者会などで、話し合いでやりたい役ができなかった子の話も聞いていたので、もちろん、そういったことも含めてページェントは素晴らしいと思っていた。

しかし、今年のページェントで、今まで感じていたことは頭で理解していたつもりになっていただけだったことを思い知らされることに・・・

2番目の娘、Mは普段の生活で友達とのトラブルが少ないので、毎日毎日トラブルを起こしていた長男に比べたら手がかからず、わたしが比較的心穏やかに過ごせる時間が多いが、とにかく恥ずかしがり屋。周りの視線を過剰なまでに意識する子だった。年少組のときは歌を歌うことはもちろんのこと、可愛らしい羊の帽子を被るのも、立つことも拒否。担任のR先生に隠れるようにしてただただそこに座っていた。年中組のときも同じ。歌を歌うこともお星様を額につけることも断固拒否。歌が嫌いなわけではなく、家でもページェントの歌を毎日歌うのに、皆の前で何かをすることがとにかく嫌いなようだった。

そんなMが年長組のページェントではマリヤさまがやりたいと言い出した。
私と夫は驚いた。あの、年少組のとき衣装も被らなかったMが『マリヤさま』を?と。

私たちは頭ではわかっている。“どれも大切な役”だということを。
でもやっぱり『マリヤさま』がとりわけ大切な役だと思っているんだろう。
私たちは頭ではわかっている。練習の成果を発表する“発表会ではない”ということも。
でもやっぱり『マリヤさま』がしっかりできないと舞台を台無しにして申し訳ないと思っているんだろう。

夫は「Mが自分からやりたいって言い出すなんて感動だね。でもMにできるはずないよ。舞台に出て突然歌わないかもしれないし!先生にやめさせてもらった方がいいよ!」と言っていたが、美登里幼稚園の先生が本人が希望している役を無理矢理やめさせるなんてことはしないとわかっているし、話し合いはこれからなので見守ることにした。

美登里幼稚園のページェントは子どもたちの生活の中に自然とあるもの。
年少組、年中組のときに年長組の大切な役を見て自然と憧れ、遊びの中に自然とページェントごっこが発生する。先生は過去のビデオを見せたり、衣装を出してくれたりしながらその遊びをさりげなく支えてくださる。年長組になっても同じ。子どもたちはページェントごっこの中でやってみたい役を試しながら、本番でどの役をやりたいか考えていくようだ。

いよいよ役決めの日。
やはりMはマリヤさまがやりたいと言って意気込んで登園していった。私はあの自意識過剰で恥ずかしがり屋のMがマリヤさまを演じるきることができたら、それこそすごい成長だし、夫も義両親も喜ぶだろうなぁなんてことを考えていた。あまり期待するのもよくないとは思うけれど、Mがマリヤさまになれたらいいなぁ・・・と思っていた。

しかし、お迎えに行くと、泣きながらMが出てきた。
あぁ、だめだったんだ・・・とすぐにわかった。
家でMに話を聞くと決め方は次のようだったそう。(M談なので事実と異なることがある可能性あり)

________
マリヤさまには7人の女の子が立候補し、どうやって決めるかみんなで意見を出し合った。
・生まれた日が早い順
・みんなの前で恥ずかしがらずに歌えるかやってみる
・水筒を転がして早くゴールした人順
・泳ぐのが早い順
・くじ引き
・じゃんけん
・グーパー

生まれ順は遅いから絶対いやだ!
スイミング習ってないから泳げない!
などと反対意見が出たので話し合いの末、RちゃんとEちゃんだけはくじ引きで1人選ぶことにして、他の5人はグーとパーで2人選ぶことにした。
Mはグーとパーで多い方になってしまい、マリヤさまになれなかった。
________

第一希望が叶わなかった人はまだ埋まっていない『語り手』か『羊飼い』になるけれど語り手は一人しか枠がない。Mは語り手か羊飼いならば衣装が可愛い語り手がいいらしく、家で兄とじゃんけんの練習をして第二希望の役決めに臨んだ。

第二希望役決めの日、お迎えに行くとこの世の終わりのように泣きじゃくりながら出てきた。またもや、話し合いの末にグーとパーで落選したらしく、

「もうページェントなんて嫌い!ページェントなんて絶対に出ない!」

と泣きながら叫んでいた。
担任のK先生は、私を呼び寄せるとこう言った。

「今は本当に悔しくて悲しいと思いますので、その気持ちをそのまま受け止めていきたいと思います。すぐに気持ちを切り替えなくても大丈夫です。Mちゃんの気持ちを待ちたいと思います。」

と。

それを聞き、親の私自身とても救われた気持ちになった。

悔しいけれどダメなこともある。一生懸命頑張ってもどうにもならないこともある。自分の気持ちを押し殺して我慢する経験も必要なんじゃないか。周りに迷惑をかけないように気持ちを切り替えなければいけないのではないか。そうであるなら、親である私がしっかり切り替えさせなければ・・・と考えていたから。

でも、先生がえんえん泣く我が子をそのままでもいいとおっしゃってくださり、心がすっと軽くなったような気がした。
人前でもどこでも、Mが気の済むまで大声で泣いてもいいと思えたし、Mの恨み辛みを気の済むまで聞いてみようと思えた。無理矢理Mの気持ちを切り替えさせようなんて考えず、とにかく「なるようになれ」とただただ時間が過ぎるのを待ってみることにした。

数日間、我が家で『ページェント』、『マリア』、『羊飼い』という言葉が禁句状態になっていたのだが、段々とMの口からページェントの話題が出るようになってきた。葛藤がまだあるような、複雑な表情をしながら話すその姿がものすごく健気に感じられ、ある時気付いたら私自身がボロボロと泣いていた。

「Mちゃん、マリヤさまやりたかったね、悔しいね。」

そう言いながらMを抱きしめると、Mもボロボロ泣いていた。
そして、Mは清々しい声ではっきりとこう言った。

「Mちゃん、やっぱりページェント出る。」

それを聞いて私はまた涙が溢れた。
寄り添うってこういうことなのかもしれないな、と思った。
K先生のおかげで、親としてちゃんとMと向き合うことができたような気がした。

その日から、Mは吹っ切れたように家でページェントの練習を始めた。最初から最後まですべての役を一人で歌い、セリフを言う一人ページェント。家にいるときはいつも、お兄ちゃんのページェントのしおりを手に一人ページェントをし、いつしかしおりを見なくても歌えるようになっていた。

『羊飼い』に決まったときは、自分の名前シールを羊飼いに貼るのが嫌で名前シールをくしゃくしゃにして投げたらしいが(激しい子なんです・・・)、K先生が羊飼いの被りものをリボンで結んで衣装を可愛く工夫して、羊を抱いたらどうかと提案してくださったり、お友達とページェントごっこをしたりしながら、少しずつ少しずつ気持ちが羊飼いに近づいていくように感じた。

ページェント当日、子どもたちが入場したときから私は涙腺崩壊。
立派に可愛らしい羊飼いを演じたMはもちろんのこと、それぞれの子どもが生き生きと舞台に立っている姿を心から愛しく感じた。声が小さくても、想定外の動きをしても、それぞれの個性が光っていて素敵だなぁと思い、涙が止まらなかった。本心からそう思った。そして、子どもたち一人一人が、お互いの個性を受け止めている姿にも心を打たれた。

ふと、長男のページェントのとき、博士を演じた長男の声が小さいとダメ出しをしたことを思い出した。3年前の私は、頭ではページェントを発表会ではないと理解していたつもりだったのに、心では発表会の類と同じように捉えていたんだと思う。

冬休み。祖父母にページェントで『羊飼い』を演じたことを誇らしく話すMの姿があった。そして今でも、羊の絵本や羊の毛のようにもこもこした毛糸や小物をみつけると、

「Mちゃん羊飼いだから、これ似合うよね〜」

とニコニコしながら私のところに持ってくる。
Mは『羊飼い』である自分に自信を持ち、好きになることができたのだろう。そして親である私も、『羊飼い』のMのことが誇らしく、最高に愛しく思える。

園長先生がいつかおっしゃっていた。

「ページェントはね、役の希望が叶わなかった子もいるはずなのに、不思議とどの子もその役がぴったりだと思えるようになるの。もうその役はその子しかいないって本当に思えるようになるのよ。」

本当に、本当にその通りだと、今のわたしは心から共感することができる。

美登里幼稚園最後のこの年にやっと、園長先生をはじめ、先生方がおっしゃっていた『美登里幼稚園のページェント』がわかった気がする。

『美登里幼稚園のページェント』を通して、Mは自分に自信が持てるようになった。

Mだけでなく、親の私も、たくさんの大切なことに気付くことができ、親として少し成長できたように思う。

『美登里幼稚園のページェント』に、先生方に、子どもたちに、保護者のみなさまに、そして神様に、感謝の気持ちでいっぱいである。

(Mちゃんのお母様)

「マリヤ」を演じたRちゃんの場合

昨年は『みどり組になったら天使をやりたい!』の一択だった娘。お友達と一緒を好むタイプなので、きっと天使狙いかと思いきや語り手もやりたいし〜、天使もやりたいし〜、マリヤ様もやりたいし〜どれにしようかな??
あ〜悩むなぁ、カカは何にしたらいいと思う?
数日間、真剣に悩む姿からも成長を感じ取れる毎日でした。
私からは1番やりたい役に挑戦してみたら?もしソレになれなくても与えられた役を精一杯やろうねと一言だけ伝え、娘の葛藤を見守っておりました。
娘が最終的に何の役を希望したかは役が決まってから知りました。

正直、やりたい役にはなれないだろうなと思っていたので何と言って慰めようかとばかり考えていた私は、マリヤ様に決まったと聞いて、娘にこなせるだろうかと一瞬で心配な気持ちに変わりました。

お友達のパパやママたちが沢山観にこられるけど緊張しない?セリフは合ってるの?先生に台本をお借りしてきて!など、私のこれまでの見守り精神はどこへやら…
しかし、帰り道や公園で突如始まる友達とのページェントごっこでお友達も娘も全役完コピ! 

本番もこの調子で出来るといいなと期待と不安を抱きながら、当日までは、き組でいただいた絵本を読み返し親子でクリスマスへの理解を深めたり、体調管理に気を配りました。

礼拝堂に着席し子供たちがそれぞれの衣装を身につけて入場、第一声で子供たちの緊張度合いが伝わり、それだけで胸がいっぱいになりました。
緊張からか娘も何度もこちらを確認し、私も『あなたなら出来る、大丈夫!』という念を込めてアイコンタクトを送り合いました。
子供たち全員の勇姿に見入るほど、やりたい役になれた子も、なれなくて悔し涙を流した子も、全ての子が役を全うするページェントは感動そのものでした。

私たち親子にとって今回のページェントは、希望通りの役になったことで、自分の役をしっかりと果たす責任があることや一生懸命練習することなど、娘と話す良い機会をいただきました。娘は無事果たせたことで自信にも繋がったかと思います。

これから、みどり組さんでのページェントを迎えるお子さんも親御さんも、ページェントではクリスマスの意義を学び深められるだけではなく、子供たちの成長を感じられる良い機会となりますので、 楽しみに大切に過ごされてみてはいかがでしょうか。

最後に先生方の日頃のご指導や愛情を持って支えてくださることに心より感謝いたしております。

(Rちゃんのお母様)

「羊飼い」を演じたKFくんの場合

KFがページェントに初参加をしたもも組の時、兄DFが「宿屋さん」を演じました。それから2年の月日が経ち、KFにとって最後のページェントの役決めの日。

パパとしては、自身が通っていた教会学校で演じた博士をやって欲しかったのですが、KFは兄と同じ「宿屋さん」に立候補。複数の候補者がでて、議論がスタート。KFの「かけっこで速かった子が宿屋さんになる」という提案は、当然却下。話し合いの結果、落選。「博士」は、既に決定済。「語り手」も落選し、「羊飼い」に落ち着きました。

帰宅後、KFは兄のDFに「オレ、羊飼いになったんだぁ」と少し寂しげに話していました。DFは「そうなんだぁ。羊飼い、いいよお」と言葉少なげに慰めていました。初回の練習後にも1度だけ、KFはママに「やっぱり、宿屋さんになりたかったよ」と述べましたが、その後は、羊飼いを、いやページェントの練習全てを夢中になって楽しんでいました。羊飼いだけでなく他の様々な役の台詞も覚えようとしていました。

ページェント当日。家では「緊張してるぅ~」と言っていましたが、劇本番では、緊張しているようには見えず、むしろ、「お友達にツッコミを入れるな!」とさえ思いました。

最後のページェントということもあり、親としては当初、我が子を一瞬たりとも目を離さず凝視しようと思いましたが、ふと、ある保護者の方から聞いたお話を思い出し、全体も観ようと思い直しました。

このページェント、内容は当然、毎年同じですが、ことあるごとに配役の追加等をしているというのです。ガブリエルも今から5年前に卒園した男の子が天使に決まったことで、新たにできた役だそうです。その男の子は天使の役に抵抗があり、どうしてもできないということで、ガブリエルという役が誕生しました。当日の本番直前、彼はやはりできないと言いだしましたが、最後には「僕はガブリエルをやるんだ!」と宣言し、立派に演じきりました。そのストーリーを知っている大勢の保護者から拍手喝采だったそうです。

そして、今年のページェントに彼の妹がもも組さんの羊として、ちょこんと座っていました。ページェントの歴史と今と未来を感じることができました。

私の密かな夢は、孫のページェントを観覧し、どんな役が新しくできたのかを確認することです。そして、孫や子供に当時の様子や歴史、そして未来をお話することです。

そういえば、1月のとある日曜日にも、KFは一人でページェントの台本を読み、一人ページェントをやり、更にパパ達を呼び、一緒に台本読みをしました。KFにとってページェントは、とても大切なものになっています。

(KFくんのお父様)

「宿屋」を演じたKKくんの場合

もともと周りで起きていることよりも自分の興味のある世界に集中しがちな息子。

ページェントのこともはじめは「はて?」という感じでそこまでピンときていなかった様子でした。

どの役をやりたいか等、具体的な話もまともにできないまま気づけばページェント役決めの日に。

どうだったかなーと思いながらお迎えに行くと、

「ぼく宿屋さんになった!」

と駆け寄って来て、
宿屋さんになりたかったの?と聞くと「うん!」とだけ言い、あとはいつも通りお友だちと遊びに走り去っていきました。

子どもたち同士で話し合うページェントの役決めは毎年様々なドラマがあると聞いていたので、親としてはあれ〜と肩透かしを食ったような感覚でした。

ともあれ本人がなりたい役になれたのならよかった、詳しいことは追々聞けたらいいなと思っていたその日の夜、一緒にお風呂につかっていると

「ぼくは宿屋さんになれたけど、KSくんがクジではずれて宿屋さんになれなかった。泣いてた。」

とポツリ。

「KKはその時どうしたの?」と聞くと
「ぼくはどうしたらいいかわからなった。KSくんのそばにいた。」と。

普段から、こちらから幼稚園であったことを聞いても詳しく話すことはほとんどなく、よほどのことがあった時だけ自分から話すスタイル。
今回、一緒に宿屋をやりたかった仲良しのKSくんの想いが叶わなかったことで、彼自身も残念で複雑で、とても戸惑っている心の内が伝わってきました。

私もなんと言葉をかけたらよいか迷い、

「そうかぁ、KSくん悲しかったね。でもKKがそばにいてくれて少しは気持ちが助かったかもしれないね。」

としか伝えられず。
次の日の朝、「どの役もそれぞれ大切な役です。子どもたち、色々な思いがあると思いますが受け止めてあげてください。」という先生の言葉を思い出し、「KSくんも羊飼いの役をがんばれるといいね」と声をかけて幼稚園に送り出しました。

本格的にページェントの練習が始まってからは、本人もKSくんもそれぞれなりに練習に取り組めていた様子でひとまずほっ。

家で自分のパートを歌うのは恥ずかしいからと歌うことはほぼありませんでしたが、他の子のパートを口ずさんだりピアノで弾いてみたりと日に日に彼の気持ちがページェントに向かっているのを感じていました。

周りのお友だちや先生から、「KKくん、宿屋さん大きな声で歌ってるよ!」と練習での様子を都市伝説のように伝え聞きながら、あっという間に本番の日を迎えました。

入場時は恥ずかしそうにしていたものの、自分の出番ではとても生き生きと歌っていて、彼がこの日まで幼稚園での練習をがんばってきたことが伝わりじーん、、
そして最後の全員合唱でKSくん含め皆が一生懸命歌う姿にまたじーん、、
途中、隣のお友だちを気にかけて手伝うような様子が見られたのも新鮮でした。

これまでの園生活を通して、少しずつですが彼も周りのお友だちのことを想う気持ちや、皆と一緒にひとつのことに向かってがんばる力が育ってきているのだなと感じられ、うれしく頼もしく思えたページェントでした。

実りある時間を共にしてくれているお友だちや先生方に心から感謝しています。

(KKくんのお母様)

「ガブリエル」を演じたHちゃんの場合

幼稚園の大切なイベントの一つであるクリスマスページェントが終わりました。
みどり組にとってはそれぞれが役を演じる幼稚園生活最後の特別なページェント、本番までの道のりにはきっとそれぞれに様々なドラマがあったように、私達親子にとってもちょっとした試練のドラマがありました。

秋、運動会とお芋掘りが終わり、ページェントの準備が始まった頃、娘はとにかく楽しそうで、『どの役にしようかな?ママはどの役がいいと思う?』と、ページェントで役を演じられる事が嬉しくて仕方なく、胸が高鳴っている様子でした。
でもその様子は長くは続かず、準備が進むにつれて娘の表情は不安でいっぱいに変わっていきました。
朝、『幼稚園に行きたいけど、行きたくない!』と言ってベットに入って出てこなくなってしまう。幼稚園に辿り着いても自転車から降りようとしない。教室に入る事ができず、先生達に抱きかかえられ連れて行って貰う事もありました。
ページェントを楽しみに思う気持ちとは裏腹に
役決めへの不安や迷いに戸惑っているようでした。『やりたい役が何役かあり、決められない。その中でも何人かのお友達が希望している役は、やりたい子がやれなくなってしまうから自分は希望しない方がいいかもしれない。
そして、果たして自分はやりたい役をやれるの?もしやれなかったらどうなるの?』と、いろいろな思いが巡っていたようです。

そんな中、先生方はいつも寄り添い励ましてくださっていました。信頼し心を許せる先生方の存在と、一緒に頑張ったり励ましてくれるお友達の存在が娘にとって大きな支えとなっていたと思います。
母はちゃんと支えになれていたかどうか…励まそうとしたのに責めてしまったり、娘の逃げ腰な姿に苛立ってしまったり、なかなか冷静になる事ができずにいました。
娘は自分が上手くできない事に苛立ち、その怒りの矛先は母に向かい、怒りのぶつけ合いにもなる事も何度かありました。

それでも周りに支えて貰いながら、娘も娘なりに頑張り、気持ちを切り替え、役決めの日まで何とか出席することができました。
役決めが行われた日、担任の先生から娘が希望する役になれた事を聞かされ、それまで親子で葛藤した数日間を思うと、親子でとてもほっとしました。
役が決まってからの娘は心の平穏を取り戻し、ページェントを心待ちにして過ごしました。セリフと歌を四六時中口ずさんで、ページェント一色の毎日でした。
同じグループの仲間との関わりが増え、仲が深まり楽しそうでした。練習でのお友達の様子を楽しそうに話してくれたり、あのお友達は本番大丈夫かな?と仲間の事を心配し気にかける姿もありました。

そんな風にして迎えたクリスマスページェントの本番、緊張しながらもみんなと一緒に楽しそうに演じている娘の姿がありました。
娘も、一緒に演じたお友達みんなも、とにかくみんなキラキラと輝いていました。それぞれの道のりを経てみんなで作り上げた一つのページェント、どの役を演じるどの子も、その子の精一杯の力で挑んでいる姿がとても美しく見えました。みんな本当に素晴らしかったです!!

輝いた子供達の姿を目の当たりにして、子供の成長する力を感じました。あまり心配は要らないのでしょうね。娘のことを心配しましたが、心配するのではなく彼女の力を信じてあげる事が娘にとっては一番の励ましだったのかもしれません。

繊細で不安になりやすい一面のある娘にとって、ページェントは今までになく大きく気持ちが揺れ動いた経験だったと思います。でも勇気を出して頑張った事、信頼できる先生方の元で仲間と一緒にページェントをやり遂げた事、その経験は娘にとってとても嬉しく自信に繋がるものだったでしょう。そのような貴重な経験を幼稚園でさせて貰えた事は、母としても嬉しくとても感謝しています。支えてくださった先生方、お友達、パパママ達にも感謝を伝えたいです。本当にありがとうございました。そして、おつかれさまでした。

(Hちゃんのお母様)

「博士」を演じたJくんの場合

子どもたちがいつになくソワソワし始める11月下旬。美登里幼稚園が大切にしているクリスマスの季節です。12月に入るとアドベントクランツに火が灯され、ページェントの準備が始まります。

年少さんは羊のお役、年中さんは星のお役、年長さんになるとそれぞれにお役目を頂きます。
役決めの前に行うページェントごっこでは

「羊飼いにする!やりたい人少ないから」
「○くん、○くんと羊飼いやるんだー!」

と意気込んでいた息子のJ。毎年、ページェントの時期は「みどり組になったら絶対に博士がいい!」と宣言していたJだったので母としては意外な気持ち、でも性格的に周りに合わせるJらしい動機もありかなと見守っていました。ある日、羊飼いの予習で兄(小4)の時のページェントのDVDを家族で見ることにしました。兄が演じていた博士役を見て急に心変わり(笑)。

「やっぱりお兄ちゃんと同じがいいな…」
「でも博士は人気だからどうしようかなー」
「やっぱり○くんと一緒がいいしなー」

なかなか決心できず、博士⇄羊飼いを行ったり来たりしながら迎えた役決めの日。最終的には兄からの強い勧め(笑)と、年少の頃からの憧れを貫き博士役に希望を出しました。

希望が叶い大喜びで帰宅すると思っていたその日、どこか浮かない表情を見せるJ。

「ぼくが博士役になれたのは他の役にうつってくれた子がいたからなんだ。」
「その子はほんとに他の役で良かったのかな…」
どこか申し訳なさそうにしていました。

「お友達の勇気と想いに感謝してその子の分もがんばろう」

気持ちを切り替え、Jにとって、お友達の優しさが詰まったページェントが始まりました。

3人の博士役は、それぞれの捧げ物や衣装を話し合う場が設けられました。捧げ物を決める過程では、お友達Kくんと希望が重なってしまいましたが快く譲ったJ。衣装決めではお友達2人の希望を聞いて、自分が我慢すればすんなり決まるという状況で希望を言い出せずにいたそう。そんな様子に気づいたKM先生が

「Jくん、我慢することないんだよ。自分の想いは伝えていいんだよ。」

と寄り添ってくださいました。

J「ぼくもKくんと一緒で、本当は青の衣装がいいんだけど…」(言えた!笑)

Kくん「じゃ、ぼく緑の衣装にするね〜!」

と快く譲ってくれました。KくんとJとの譲り合いが微笑ましく♡これぞ優しさの連鎖、心温まるエピソードでした。

毎日のお風呂タイムは兄と共にセリフと歌の大合唱!自然と練習に励む姿がありました。やらされるのではなく、上手に演じたい…Jの中に湧き上がる気持ちが伝わってきました。
幼稚園のリハーサルでは演じた後に

「先生〜!ぼくちゃんと博士できてた?」

と必ず確認する様子があったそうで、真面目な息子らしい姿も(笑)。

本番当日。朝起きて第一声は

「ぼく緊張でドキドキしちゃうから、ママは後ろの方からこっそり見てほしい」

とJの本気を感じた言葉でした(笑)。そんな中、堂々と演じきったJの姿は自信に満ち溢れ、キラキラの笑顔でした。家では甘えてばかりのJも数ヶ月後には小学生、普段は見せない大人っぽいその顔つきにハッとさせられました。

色々な想いを巡らせ、話し合いを重ねる役決めには毎年沢山のドラマが詰まっています。嬉しさ悔しさ、お友達一人一人の想いを理解しあって、寄り添いあって、グッと成長していく姿に胸が熱くなります。本番を成功させることがゴールじゃなく、ページェントまでの“心が動かされる日々”を大切にしてくださる先生方に改めて感謝いたします。

(Jくんのお母様)