遠足こぼれ話 〜みどり組のケンカと解決編〜

おしらせ/幼稚園の生活

今年は新宿御苑へ遠足に行くことができました。2 年前は緊急事態宣言で中止、昨年は園のすぐ側にある目白台運動公園で実施された遠足。ついに、コロナ禍以前に定番だった「新宿御苑」に戻ってきたのです。

…とは言え、園児達は、年長さんも含め新宿御苑は初なので、「久しぶり」という感慨とは無縁!広い緑の芝生の上、思い切り走りまわる様子や、その弾けるような笑顔を見ていると、やはり親としては、少しずつ日常が戻ってきたような喜びがありました。

そして、お楽しみのみどり組レクレーションは、絵合わせゲームと新聞紙リレー♪「頑張れー!」と互いを応援しあい、思わず親も夢中になったあのひと時に感謝です。

さて、そんな遠足もお昼前に解散になり、残った親子がお昼を食べ、遊んでいた午後のこと。我が子もお友達とひたすら遊び続けておりましたが、その途中、ちょっとしたトラブルが起こったのです。

お気に入りの棒を見つけて遊んでいた息子と、その棒が欲しくなったお友達の弟君(年少さん)が、その棒の取り合いになっています。仲裁に入るか様子を見ていたところ、ちょうど息子の同級生のA 君が仲裁に入ってくれました。
ところが、その仲裁に全く耳を貸さず小競り合いを続ける息子と弟君。たまりかねたA 君は、2 人の手から棒を取り上げると、「もう、こうすればいいよね!」
と、ポキッと半分に折ってしまったのです。

A 君は、事態を解決しようと「半分こ」のつもりで折ってくれたと思うのですが、当の息子は、お気に入りの棒が別の姿になってしまい、ワンワン泣き出してしまいました。あれまあ、これはどう対応したものか・・・と、ひとまず息子をなだめていると・・・しばらくして一緒に遊んでいた女の子の一人が、近くにあった別の棒を拾い、「これ、どうぞ」と届けてくれたのです。その優しさにジンときたのも束の間、当の息子は、簡単には切り替えができず泣きやみません。しかし、その様子を見ていた周りのお友達が、「そうか!別の棒を届けるというやり方もあるのか!」と思ってくれたようでした。

それ以降、次々に息子のもとへ棒を届けてくれるお友達。最初こそ、首を振ってばかりの息子だったのですが、ある子が持ってきた棒が想像以上に長く、思わず「長っ!」と少し笑みがこぼれ・・・。その直後、遠くから息子の名前を呼ぶ声がするので目を向けると、なんと視線の先のお友達は、彼の身長をは
るかに超える棒(というより伐採された大きな枝!)を担ぎ、戻ってきたのでした。「これでどうだ!」と言わんばかりの自信満々な表情で。

そんな彼の収穫物と表情には、息子も大人も大笑い!「デカっ!!!」という叫び声とともに、その子のもとに息子が駆け出し、周りの子も続き、結局そのまま皆で「枝探し遊び」が始まったのでした。さっきまでの小競り合いも大泣きも何処へやら。こうして誰も悪者になることもなく、形だけの「ごめんね」をすることもなく、なんとも爽やかに事態が丸く収まったのでした。

私は、子ども達の優しさと明るさと気楽さに、学ばせてもらいました。子ども達は子ども達なりに目の前の事態を全身で感じ、「どうしたらいいだろう?」と考えているのですよね。そして、行動を起こし、その結果を受け止め、執着せず、明るくいられる。大人にはなかなかできないことです。きっと子ども達
は、そんな全ての過程で成長しているのに、日頃つい介入や仲裁という形で、あっさりとその機会を奪っているかもしれないと我が身を振り返ったのでした。
もちろん、毎度このようにうまくいく結末とは限りません。でも、うまくいかない結末からも、きっと更に成長するはず————。

美登里幼稚園では、日頃まさにそうした保育をしてくださっていると感じています。先生方が無理に「ごめんね」をさせることはありません。必ず当事者双方の話をじっと聞き、どうすればいいかを一緒に考えてくれます。時には、時間が経つのを待って、改めて対応してくださることも・・・。手間がかかってしかたありません。でも、子どもの中の対応力を信じ、そうしてくださるのです。そのありがたさも改めて感じた出来事でした。

みどり組は、これからますます、協力する場面も揉め事になる場面もあるでしょう。そんな時、まずは口出しをせずに、じっと見守れる胆力が欲しい・・・!
そして、子ども達の愛と葛藤を見届けたいと思います。

↑ケンカをしても仲良し!

広報係S.S